季節の花【17】 油を採る「アブラナ」 「朧月夜」の菜の花は外来種 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
「ナノハナ」という名の植物はなく、「菜っ葉の花」の総称で、一般には、「アブラナ」と「セイヨウアブラナ」(ナタネ)を指します。
アブラナは、弥生時代には日本で栽培されていた古い作物ですが、セイヨウアブラナは、明治に入ってヨーロッパより導入された外来種です。どちらも種から油を採取するために栽培されてきました。アブラナよりセイヨウアブラナ(以下「外来種」で表示)の方が、油の含有量が多いため、明治以降の菜の花畑は外来種ばかりになってきました。そして昭和に入ると日本産アブラナの畑がほとんど見られなくなり、現在では滅多にお目にかかることができなくなりました。
こうした経緯から考えると、江戸時代の「菜の花や月は東に日は西に」と詠まれた菜の花は、アブラナを指しますが、唱歌「朧月夜」の「菜の花畑に入り日うすれ…」の菜の花は外来種と見なされます。両者の区別は、アブラナは葉が薄く、種子は赤褐色で、外来種は葉に白い粉がふかしてあり、種子は黒色です。
モンシロチョウはアブラナの花に訪れ、蜜を吸ったり、幼虫が食べる葉に産卵したりします。アブラナの仲間であるキャベツ、ハクサイ、コマツナ、ブロッコリー、カリフラワー、カブなどにも産卵します。
次回の掲載予定は、ナズナです。
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