名木古木【12】 龍華寺の「ソテツ」 織田信長が最も恐れた木 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
洲崎町の龍華寺境内に、名木古木に指定された立派なソテツ(雄株)があります。
ソテツは「蘇鉄」と表し、株の活動が衰えたとき鉄分を与えると、元気に蘇ることからこの名がつけられました。雌雄異株で、雄株=写真上=は茎頂に黄色の円柱形をした雄花の集まりが見られます。雌株は大きな皿状をした花の集まりがあり、花後に赤い大きな種子がたくさんできます。この種子と幹の内部は有毒ですが、水によく晒して食用にし、また種子からソテツ味噌を造ることもできます。
受粉するときに精子が泳いでいき、受精するという非常に古いタイプの植物です。精子が存在するのは、シダ植物やコケの仲間で、種子植物の中ではこのソテツとイチョウだけです。
織田信長に関する逸話を一つ。堺市妙国寺に国の天然記念物「夜泣きのソテツ」(樹齢約1100年)があり、信長が最も恐れた木といわれています。信長は堺でこのソテツを初めて見て気に入り、すぐさま安土城へ運ばせました。しかし暖かい地域に分布している植物のため、安土城ではよく育たず、株がぼろぼろに弱り、毎晩ヒューヒューと音を立てて風を吹かせ、血のような赤い雨を降らせました。これを見た信長は戦慄し、恐れおののき即座に伐採させたといいます。赤い雨は鉄分が多いため、赤い成分が滲み出たからです。
次回は「パンジー」の予定です。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|