物語でめぐる金沢 『富岡の家』大佛次郎文・協力/金沢図書館
直木賞選考委員会に呼ばれた大佛は、直木の死、墓所、直木の友人や直木賞受賞者達とバスを仕立てて開催した十七回忌の事などを思い出します。時がたち墓所が富岡にあるのも忘れられ、大分荒れているのだそうです。今はそんな事はありませんが、この随筆が書かれた当時(昭和35年7月発表)はそのような状態だったのでしょうか。
直木が晩年家を建てたのは金沢区富岡です。彼は税制度に抗議して税金を滞納し、役所の追及を逃れるため、それまで自分の家を持とうとしなかったといいます。しかし肉体的に衰弱し、自分が倒れた後の事を考えたのかもしれないと大佛は推測しています。
大佛自身は富岡の家を訪ねたことはなかったのですが、直木が自分で設計したので不便で滑稽だと菊池寛が笑っていたとか。そして、この「富岡の家」の事を調べて明らかにしてもらいたいと、横浜のペンクラブ有志と作家平野零児に要望しています。やがてこの両者によって、大佛の期待に応える成果が発表されるのですが…。こちらについてはまた次回!
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