物語でめぐるわが街 『時こそ今は』太田治子著 筑摩書房文・協力/金沢図書館
作者は太田治子さん。太宰治の娘で、1947年生まれの「団塊の世代」です。作品の発表は2007年です。
物語の主人公は作者と同年代、あと少しで58歳となる明子。十年前に離婚をし、一人息子は独立して、大学図書館で司書として勤めながら一人暮らしをしています。元夫とはここ3年音信不通でしたが、ある日TVニュースで、台風で増水した川の中州からヘリコプターで救出される姿を見て、連絡を取ろうとするところから物語が始まります。
明子が離婚するまで暮らしていたのが、横浜の、下り京急線に乗って「特急から各停に乗り換えて四つ目」の駅から徒歩約20分、急勾配な坂の先にある、金沢自然公園に近い低い山を切り崩してできた団地でした。物語の中で明子は再訪し、親子3人で幸せに暮らしていた頃の思い出がよみがえります。さらに、そこで思わぬ人に出会い、元夫の秘密やまったく知らなかった離婚当時の様々な事情などが明らかになっていきます。
発表当時、還暦を迎えようとしていた団塊の世代が、若いころを振り返り、また、これからの行く先を考えようとする物語です。
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