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公開日:2026.02.12

横浜市立大学エコチル調査
データが拓く小児医療の未来
子どもたちの未来のために、今できること

  • エコチル調査神奈川ユニットセンター(横浜市立大学医学部内)の伊藤秀一センター長(小児科教授)、川上ちひろ副センター長(エコチル調査特任准教授)、舟越さん、指導教員の桑原恵介准教授、後藤温副センター長(公衆衛生学教授)=左から

    エコチル調査神奈川ユニットセンター(横浜市立大学医学部内)の伊藤秀一センター長(小児科教授)、川上ちひろ副センター長(エコチル調査特任准教授)、舟越さん、指導教員の桑原恵介准教授、後藤温副センター長(公衆衛生学教授)=左から

  • 松下理恵医師

    松下理恵医師

  • 野田雅裕医師

    野田雅裕医師

  • データが拓く小児医療の未来 (写真4)

  • データが拓く小児医療の未来 (写真5)

 赤ちゃんがお母さんのお腹にいる時から定期的に親子の健康状態を観察し、環境要因が子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにするエコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)。環境省が2010年度から全国10万組を対象に調査を開始し、23年度からは13歳以降も継続して調査が行われている。

 今回はエコチル調査神奈川ユニットセンター(伊藤秀一センター長)と、研究に関わる横浜市立大学データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス(HDS)専攻・博士後期課程1年舟越葉那子さんと対談を行った。またエコチル調査に関して発表された学術論文から2つを紹介する。

♢  ♢  ♢

 伊藤 エコチル調査に興味を持ったきっかけは

 舟越 エコチル調査との出会いは、ちょうど調査が開始された大学5年生の頃です。小児科医になりたいと思い、小児について学んでいたのですが、日本人の大規模な母子コホート(集団を追跡する)調査があることを知り興味を持ちました。特にエコチル調査は様々な要因を調査開始時に把握し、時間の流れに沿って、健康状態の変化などを追跡して調べる「前向き」な調査が特徴です。子どもの成長をデータと共に追いかけていくのは小児科の大事な役割なんだなと認識しました。

 川上 研究しようと思った理由は

 舟越 3回の出産を経て、現在は小児医療の総合病院に勤めています。希少疾患の症例が多く、大規模なデータから少ない人数を取り出して分析する必要性を感じています。それが市大のヘルスデータサイエンス(HDS)に興味を持ったきっかけになります。

 伊藤 これまでは「後方視的研究」といって過去に行われた診療上のデータが研究に使われることが多かった中、エコチル調査は「前向き」かつビッグデータで、医学だけでない環境要因も入っている貴重なデータですよね。

 桑原 世界中の研究者が既に取り組んでいるようで、実は誰も取り組んでいないテーマというものが意外にあります。こうした大規模データを活用して未知の相関関係を立証できることは非常に説得力があり、貴重な存在だと思います。

 後藤 横浜市大では独自に血圧に関する追加調査を行っています。小学生における血圧の状況を把握し、もし高いとしたらなぜ血圧が高くなっているかを明らかにしようと思っています。その調査結果に期待しています。このようにデータがたくさん蓄積していくので、若い先生たちにどんどん入ってきていただいて、データを出し、子どもたちに健康を届けていきたいと思っています。

調査成果【1】 性別と母体の状態との関わり 妊娠前から体を整えることが大切

 赤ちゃんの性別は、基本的には偶然によって決まると考えられている。これまでに、環境要因や医療技術、栄養状態などとの関連を検討した研究も報告されているが、性別を左右する決定的な要因が明らかになっているわけではない。

 こうした背景を踏まえエコチル調査のデータを用いて、妊娠前後の食事や健康状態と、子どもの性別を含むさまざまな特徴との関係を調べた。その結果、栄養と性別との関係は一部の条件を除いて大きくはなかった。

 一方で、性別との関連とは別に、日本では若い女性を中心に食事量が少なく、やせている人が多い現状が改めて明らかになった。体に必要なエネルギーや栄養が不足した状態が続くとホルモンの働きや妊娠のしやすさに影響し、赤ちゃんを育てる土台にも関わる可能性がある。大切なのは妊娠前から体を整え、無理にやせすぎずきちんと食べること。妊娠してからだけでなくその前からの健康づくりが子どもの未来を支える第一歩になる。

調査成果【2】 親の教育水準と子どもの肥満リスク 家族単位で生活習慣改善を

 小児期の肥満は成人期まで持ち越されやすく、糖尿病や心血管疾患のリスクを高めるため、早期予防が不可欠だ。先進国では所得や教育水準と小児肥満の負の関連が指摘されているがアジア圏での研究は限られていた。

 調査の結果、両親の教育期間が短いほど、4歳児の過体重や肥満の割合が高いことが明らかになった。具体的には、両親ともに教育期間が短い群では肥満の割合が5・5%だったのに対し、両親ともに長い群では3・8%に留まっていた。この関連性は、過体重の子どもよりも肥満の子どもに、また、母親自身が過体重である場合に、より顕著に認められた。

 調査では遺伝要因や食習慣といった未測定の因子の影響という課題もあるが、親の教育期間の短さが4歳児の肥満と独立して関連していることが示唆された。小児肥満を効果的に予防するためには、教育期間の短い親に焦点を当て、家族単位での生活習慣の改善や行動変容を促す支援が重要であると考えられる。

エコチル調査神奈川ユニットセンター

横浜市立大学医学部内

TEL:045-782-2770

https://ecochil-kanagawa.jp/

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