第20回 横浜弁護士会人権賞に選ばれた 濱田 八重子さん 中区山下町在住 85歳
障害者の人権擁護に貢献
○…人権賞受賞に敬意を表しつつも「決して私一人の力ではないんですよ」とつぶやく。1988年に私財を投じて知的障害者の自立支援施設「愛の森学園」を開設、理事長として運営に携わってきた。その取り組みが心ある弁護士の目に留まり推薦された。
○…知的障害者の施設を創設した理由は、自身の経験にある。デンマーク人の夫との間に授かった子どもには障害があり、「心豊かな生活を送らせたい」とデンマークに預けることに。5歳で離れて暮らすことになった時の胸中は言葉にできない。その時の思いから「日本に良い施設をつくりたい」という一心で、たくさんの助けを得て厚木市森の里に施設をつくることができた。「できるものだと思ったんですね、若かったから」とはにかんだ。当時も今も「困ったことがあったら、助けなければならない」という信念を貫く。
○…生まれは戦前の朝鮮半島で6人きょうだいの末っ子。終戦後、1年ほど収容所に。その生活は壮絶で「寒さや飢えでどんどん人が死んだ。忘れることができない」と笑顔が消えた。「だから戦争は絶対に反対です」。一文無しの”引き揚げ者”として両親の出身地である大分に身を寄せる。その後、姉が営んでいた大阪の飲食店を手伝うように。そこで夫に出会い、横浜に移ってデンマーク料理店「スカンディヤ」を開いた。50年以上の歴史を誇る中区海岸通りの同店は、誰もが知る名店だ。
○…「友だちに言われて、85にして初めて手帳を持ちました」とお茶目な面も。思ったことははっきり言うタイプで、店のスタッフには今でも鋭い指示が飛ぶ。年に1度の海外旅行は楽しみの一つ。「去年行ったサンフランシスコは熱気があってよかった」。元気の秘訣は「疲れたら休む、それくらいかな」と笑った。「お客様も、愛の森の子どもたちも同じように大切。一生懸命、きちっとやるだけです」と言葉に力がこもる。
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