魚の美味しさを伝えようと保育園などでさつま揚げの体験教室を行う 今井 宏之さん 西区中央在住 36歳
さつま揚げから、笑顔を
○…西区の藤棚商店街で65年続く老舗「今井かまぼこ」の3代目。バンダナ姿で店頭や作業場で忙しく働きながらも、いつも絶やさぬ優しい笑顔が印象的だ。「さつま揚げって、日本古来からの魚食文化の一つだけど、まだまだもっとおもしろいものを造れる。さつま揚げができることって、もっと沢山あると思うんです」と楽しそうに語る。
○…店舗2階に実家があり、まさに藤棚商店街で生まれ育つ。小さいころから祖父や父が働く姿を見てきた。「でも、子どもの頃は店を継ぐ意識はなかった」と話すが、転機となったのは26歳の時。店で働いていた祖父が体調を崩して倒れ、皆が駆け寄る最中に客が訪れた。すると、倒れている祖父が真っ先に「いらっしゃい、何にする」と声を掛ける姿を見て、「格好良くて、なんだか感動した。自分も一生の仕事にしたいと思った」と振り返る。
○…そこからは一念発起。自分の理想とするさつま揚げを探求するために横浜から沖縄まで自転車で「練り物食べ歩きの旅」に出た。1日3食ひたすら各地のさつま揚げを食べる旅。でも、人気の品々が冷凍のすり身を使って機械で作られているものが多い実情に驚き、「手造りで自分たちにしかつくれないものを。さつま揚げから、笑顔を生み出したい」と決意した。店に入って今年でちょうど10年。金沢区の小柴漁港から新鮮な魚を分けてもらい、市内の野菜生産者とも関係を築き、季節ごとのここでしか食べられない商品たちが店頭を飾っている。
○…店舗兼実家の裏の自宅に妻と2人の娘と暮らす。高校・大学時代に夢中になったギターやバンド活動は店に入ってぱったりと辞めたが、愛娘の笑顔に優る癒しはない。店では両親と、娘を背負いながら働く妻の姿。「家族がいつも一緒にいる感じ。これって自営ならではの幸せかな」。古き良き面影を残す商店街で理想を追い求める3代目の活躍が今後も期待される。
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