横浜の街の歴史について数々の企画展示・講演を行う 平野 正裕さん 西区在勤 56歳
史料で街の変遷知る魅力
○…横浜市中央図書館主催の「伊勢佐木界隈140年」のゲストとして、19世紀から今日に至るまでの伊勢佐木町とその周辺の変遷を紹介する(講演は定員満了)。「伊勢佐木町は元来庶民の盛り場だったが、20世紀に入って呉服店に端を発するデパートの開業や、松竹、吉本興業などの進出によって発展していった特異な地域」と話す。
○…静岡県浜松市の出身。子どもの頃から口達者で、商業高校在学時はその社交的な性格から生徒会長を務めたほど。卒業後は東海大学文学部に進学し、江戸時代以降の日本史を学んだ。その後は同大学大学院文学研究科に進み、経済史の視点から生糸産業の研究に従事した。「誰が事業を起こし、どういう経営方針を持っているのか、そういう人間臭い側面に興味がある」と話す。学生時代は研究で必要な文献収集のため民家を訪れ、土蔵の開錠を渋る所有者を説得し、史料を収集していたといい、「周りから『土蔵破り』と呼ばれていたよ」と笑う。
○…大学院を修了したのち、1986年に横浜市入庁。総務局市史編集室、横浜開港資料館で勤務し、15年4月から市史資料室主任調査研究員を務める。23年勤めた開港資料館では数々の企画展示に関わり、横浜の近代化を支えた名主を紹介する「地域リーダーの幕末・維新(06年)」や横浜の人々と植物の歴史的な関わりを振り返る「港町百花繚乱(08年)」などの企画が印象に残っていると語る。
○…「ホコリをかぶった史料を調べて、史実の有無を検証することが面白い」と仕事の魅力を語る。経済史が専門だが、史料を調べて面白いと感じると、専門外の分野にも踏み込むこともしばしば。今後は明治時代の横浜の実業家・茂木惣兵衛の研究を通して、生糸や製糸業の歴史調査を進めたいと考える。「伊勢佐木町のように、横浜は他の都市ではありえない発展の仕方をしていて興味深い」と真剣な眼差しで語った。
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