横浜市が認定・奨励団体として選定する無形民俗文化財保護団体の中には、コロナ禍によって「練習ができない」「発表の場がない」といった現状から活動継続への不安を抱えている団体がある。その切実な声は市にも寄せられており、新生活様式の下、市は新たな支援の方法を模索していく考え。
横浜市では、市域内で継承されている神楽、祭囃子、念仏芸などの無形民俗文化財の保護育成事業を実施し、文化財の保護・継承の支援に取り組んでいる。無形民俗文化財保護団体の認定・奨励制度は、民俗芸能を継承、また後継者育成等に熱意のある団体を認定・奨励団体に選定しており、今年度は75団体が対象。各団体には、楽器の修理や衣裳購入、練習場所の確保に関わる費用など活動にかかった経費の一部を助成している。
「自然消滅の可能性も」
会員の高齢化等から継承に課題を抱える団体もある中、コロナ禍によって、複数団体から活動の継続を危ぶむ声が聞こえてくる。
認定団体の横浜木遣保存浜声(ひんせい)会=中区=は、昨年2月の活動を最後に休止している。再始動として見据えるは伊勢山皇大神宮の創建150年記念事業での神輿の先導だが、同会は「御神輿は担がないなどの形での実施もあるのでは」と話す。
また奨励団体である杉豊太鼓同好会=西区=も、昨年1月から活動が全くできていない。同会の菓子田卓也会長は「早く練習したいという気持ちが募るばかりだが、再開の見通しが立っていない。休止が長引けば、会が自然消滅する可能性もあると思う」と不安を吐露した。
識者の声聞き対策
文化庁では今国会の第3次補正予算に「地域無形文化遺産継承のための新しい生活様式支援事業」を盛り込むなど、コロナ禍で打撃を受けた地域の伝統行事や民俗芸能の支援を進める。支援内容はPR動画の製作や稽古のリモート指導導入等を想定している。他市では、自治体の補助金を活用して映像を作成する団体も出てきている。
市は、こういった動きも注視しながら、「有識者らに意見を聞き、今後、新たな支援方法を探る」としている。
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