横浜市は南区、中区、磯子区にまたがる米軍根岸住宅地区跡地に浦舟町の市大センター病院、金沢区の市大附属病院などを再整備する構想案をまとめた。施設の狭あい化や老朽化から再整備を検討しており、跡地利用案などに対する市民意見の募集を11月末まで行っている。
根岸住宅地区は1947年に接収された約43ヘクタールの米軍施設。2018年の日米合意で返還が現実的になり、市は返還後の跡地利用の基本計画策定に着手してきた。地権者らによる「米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会」が17年に作成した案を踏まえ、跡地利用の計画案をまとめた。
計画案では跡地を「文教」「住宅地等」「森林公園」の3地域にゾーニング。約15ヘクタールの文教ゾーンは、センター病院と附属病院、市大医学部を再整備する最有力候補地となっている。
市大附属2病院と医学部は建設から30年以上が経過し、施設の狭あい化・老朽化に加え、診療圏や設備投資・管理部門の重複、病床数の不足などの課題を抱えている。市は最先端の教育や世界レベルの研究、横浜の医療をけん引する総合医療拠点を目指すために再整備が必要と判断した。
再整備構想案では、大学病院としての診療・教育研究機能を1病院に集約するほか、病床数を1千床程度を基本とすることを示した。2病院の跡地は地域の医療ニーズを踏まえ、必要な機能を確保するとしている。
案を進める上で交通や土地基盤、防災対策が課題となる。根岸住宅地区は根岸駅から約1Km離れた高台に位置するため、公共交通の導入が不可欠だ。また、最大傾斜60度のがけ地の安全対策や広域避難場所の機能確保が検討材料になる。さらに、約180人の地権者が持つ民有地が入り組んで存在するため、土地活用まで長い期間がかかる懸念も残る。
市は跡地利用計画案と病院再整備構想案に対する意見を11月30日まで募っている。土地利用開始や病院の開院まで10〜15年程度かかることを想定するが、返還時期が決まっておらず、スケジュールには流動的な部分が多い。市は病院再整備について「通常10年以上の準備期間が必要になる」としている。
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