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公開日:2025.08.14
市沢・仏向の谷戸に親しむ会
回復願いヤマユリ育成
「谷戸をかつての環境に」
保土ケ谷区の仏向町と市沢町(旭区)にまたがる谷戸の環境保全活動に取り組んでいる「市沢・仏向の谷戸に親しむ会」(藤川信子代表)は現在、減少する谷戸のヤマユリの回復を目的とした活動を進めている。藤川代表は「ヤマユリが群生していたように谷戸の環境をかつてのように戻したい」と話す。
谷戸に生息するゲンジボタルの保護活動に力を入れている同会の会員によると、30年前の1990年代の谷戸の斜面地にはヤマユリが群生していたが、10年ほど前から急速に数を減らしているという。同会では、竹が高く伸びてしまったことで日差しが届かなくなったことや、地球温暖化、生態系の変化などヤマユリが減少した要因を分析している。
今から3年前、谷戸の地権者からヤマユリの球根7個と種子を譲り受けた藤川代表は、同会会員で家庭菜園を得意とする河原(かわら)佳文さんに託した。河原さんは託された球根を消毒し、自宅の庭に植えると、花を咲かせたという。花が枯れた後に掘り起こしてみると、親球根から約20個の木子ができていたことから他の会員にも配りそれぞれの庭に植えて育てた。今夏、木子から育てたヤマユリも20cmを超える花を咲かせたという。
同会は「谷戸を訪れる地域住民らに、ヤマユリに興味を持ってもらい、みんなで見守っていきたい」との思いで現在、谷戸の掲示板にヤマユリの写真と、ヤマユリの花の香りに呼び寄せられる昆虫などを紹介するビラを掲示している。
掲示板に俳句
7月中旬のある日、同会会員が谷戸の入り口付近で自生するヤマユリを確認。数日後に活動のために訪れた時にはヤマユリがなくなっていることに気が付いた。会員同士で「きっと盗掘されてしまったのだろう」と話をしていた翌日、掲示板に見知らぬ紙が貼られているのを発見した。よく見ると、『楽しみの 山百合とられ 雨待つ」という俳句で、内容が、会員も確認していたたヤマユリの盗掘に関する内容だった。藤川代表は「どなたが貼ったのかは分からないが、谷戸の環境に目を向けて、私たちと同じように盗掘を残念に思う方だと思う」と話す。現在掲示板には会員がしたためた『百合失せど また咲く夢を 育む里』という返歌を掲示している。
同会は秋から冬にかけて会員宅で育てているヤマユリを谷戸の畑に移すことを計画している。藤川代表は「いずれは斜面地にヤマユリを戻したい」と展望を語った。
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