日本ベテランズ国際柔道大会で3階級制覇を成し遂げた 千葉 記位(のりたか)さん 馬場在住 42歳
父として挑み続ける柔の道
○…「最高の父の日になった」。6月19日、日本ベテランズ国際柔道大会(第13回日本マスターズ柔道大会)のM3クラス(40〜44歳)81kg級で優勝した。30歳から5歳刻みとなる大会。2008年のM1・90kg級、10年のM2・100kg級に続き、3階級と各年代制覇を達成した。直前のケガもあり、前日まで悩んだ出場。『父ちゃん頑張って』。9歳の息子の一言で火が付いた。
○…小学生の頃、タイガーマスクが好きだった。タイガーと同じ総合格闘技のサンボを習いたかったが、近くに道場がなく柔の道へ。寺尾中で柔道部に入り、地元の教室にも通った。「大好きだったんでしょうね」。強豪校に進んだ高校時代、入部当初は一番弱かった。ただ、何度負けても嫌いにならなかった。誰より好きになった柔道。努力を重ね、強くなり自信を積んだ。気づけば、五輪代表への選考会に出られるほどになっていた。
○…実は、サンボでも日本選手権を3階級制覇している。その世界に飛び込んだのは、28歳で五輪挑戦を断念し、5年が経ったときだった。「8年間、不妊治療の末に息子が産まれたんです。父親として挑みたかった」。この8年間に比べれば、どれも大したことはない。今でも挑戦の支えとなる気持ちだ。
○…「ハマると突き詰める性格」。海釣りやラジコンなど多趣味。一戦を退いてから船舶免許も取った。普段は京浜急行電鉄(株)で働く会社員。夜間、線路の整備などを行う特殊重機オペレーターとして不規則な勤務に従事する。自身も通った武心会柔道教室で指導も行うが、ストイックに何時間も練習した現役時代とは違い、練習のために家族との時間をなくしたくないと、バランスの良い生活も心がける。「選手に集中する環境ではなかったからこそ、強くなれた」。会社や家族の理解に感謝する。目ざすは全年代での最強。生涯現役で世界一かっこいい父になる。
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