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鶴見区 文化

公開日:2025.09.04

山本健吾さん、真由美さん
障害の息子と母の歩みつづる
「ぼくとかあちゃんのマラソンアート」出版

  • 著書を手にする山本健吾さん(右)、真由美さん

 重度の知的障害のある山本健吾さんと母の真由美さん=幸区=が二人三脚で歩んだ33年間の軌跡を綴った『ぼくとかあちゃんのマラソンアート』(星雲社)を出版した。真由美さんは同書を通じ「障害をひとくくりにしてもらいたくない。いろいろな人がいることを知ってもらいたい」と願いを込める。

 健吾さんは1歳半の時に、「伊藤白斑」と宣告。脳の中枢神経障害の合併により、運動や感覚機能に支障をきたし、歩行や食事、排せつなどすべてにおいて介助が必要で、生涯、車いすの生活を余儀なくされる人も多く、植物状態になってしまう恐れもあるという。

 こうした中で健吾さんは古川小学校の特別支援学級、市立養護学校中等部、同高等部に通学。高等部時代には市障害者陸上競技クラブに入会し、10Kmマラソンで完走を果たした。2020年に入所した生活介護事業所でアートの世界に触れ、才能を発揮し、展覧会で入選するなどアーティストとして活動する。

 子どもの頃、小説家になりたかった夢もあった真由美さんは、昨年末、健吾さんの今までの頑張りを実話で書こうと決意。1月から執筆を始めた。「アンパンマン」の一語しか話すことができない健吾さんが10Kmマラソンに挑戦した際、ゴールで「やったー!!」と叫んだことや、健吾さんと伴走する真由美さん自身が陸上やダンスなどに楽しむ姿を軽妙な語り口で綴る。表紙の絵は健吾さんが手掛け、展覧会に出品した作品も掲載されている。

 「将来、私の手を離れて山下清画伯のように日本中を旅して歩いてくれることを願う」と真由美さん。「その時には健吾の得意なこと、苦手なことを人に説明しなくてもすむよう、この本に全てを書いた」とも話す。

 四六判、160ページ。価格は1000円税別。鶴見駅シァル5階 のくまざわ書店やネットで購入できる。

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