連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 ㉚人格障害を出さないためには
ここ数年間のわが国の子育てに伴う政策の中で、道徳教育の必要性が叫ばれています。また、子どもを育てる大人たちの迷いや悩みが増幅して、子どもの笑顔に大きな影を落とそうとしています。このような中で、私は生物学の原則である「個体発生は系統発生を繰り返す」という視点から子育てを見直してみたいと思い、本紙への寄稿を続けて30回目となりました。
つい最近、長崎の16歳の少女、名古屋の女性、和歌山の男性の傷害事件がありました。私はこれらの事件・問題について動物行動学の視点から、【1】愛着障害が出ている【2】人格障害を起こしている【3】前頭連合野のホルモンである”オキシトシン”が不足しているなどが原因で幼少期に愛育の環境を受けて育っていないと考えます。事件を起こした後、少女の手紙には「お母さんが初めて抱きしめてくれた」などと記されていたそうです。
人間の脳は、大脳辺縁系が心・感性・気力、その外側の新皮質系前頭連合野が知力を担当し、3層構造で機能しています。もし、交通事故などで感性の脳である前頭連合野が破壊されると、乳幼児期に躾など養育の環境を受けて絶対的愛情を与えて育てあげていても、乱暴で、刹那的で、感情を抑えることができない人間になってしまいます。
こうした人格障害、愛着障害、自我の崩壊を防ぐためには、0歳〜3歳〜10歳までの躾の意味もそこにあります。赤ちゃんには動物と違って、美を認識する神経回路があります。そこに母の愛情と美しい刺激と環境を与えてあげ、人間としてやってはいけないことは何なのかを覚悟して教えることがポイントです。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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