(社福)県央福祉会が運営する就労継続支援B型事業所「アグリシステム羽沢」(横内洋志所長)=羽沢町586の11=で、近隣農家をはじめ国内で生産されたトマトを使いジュースにする取り組みを実施している。同法人は「こうした農産品の加工事業を通じて、従事する障害者・農業者・消費者が三方良しになれば」と期待を込める。
アグリシステム羽沢は、障害があり通常の事務所での雇用が困難な人に就労機会を提供することで職業訓練を行う「就労継続支援B型事業所」として今年4月に開所した。「農業と福祉が連携する場所を作りたい」と、運営団体である県央福祉会の佐瀬睦夫理事長が、10年ほど前から温めていた構想を実現する施設として設けられた。
規格外トマト使用
「農福連携」を図るために何を手掛けるか考案する中で見つけたのが、平塚市の障害者支援施設が製造していた「トマトジュース」。職員たちが同施設を何週間にもわたり見学し、これをヒントに自分たちらしさを加えた商品を作ろうと決めたという。
平塚で修行し製造方法などを学んだ後は、形がいびつなどの理由で市場に出回らない生食用トマトを、保土ケ谷区西谷町にある農園などの地元農家をはじめ日本各地から仕入れ、5月大型連休明けから利用者とともに何度も試作を繰り返してきた。
こうして2カ月ほどかけ完成したのが「よこはまくろふね 手づくりトマトジュース」。2度にわたり30分以上同じペースでかき混ぜながら煮詰めることで糖度を4から8ほどに引き上げ、トマト本来の甘みが感じられとろみのあるスムージーのようなのどごしのジュースに仕上げることに成功した。食塩・砂糖・着色料・酸味料・香料だけでなく水さえ加えていないのが特徴だ。品質が安定した8月から施設内や法人のカフェ・レストラン、各種イベントなどで1本300円(180ミリリットル)で販売されており、「市販のトマトジュースは苦手と思っていたけれど、これは飲める」との声も多く好評だという。
現在8人いる利用者は全員がこのジュースの受注業務に携わっており、うち3人はトマトの検品から加工、ラベル張りなど一連の業務を分担して行っている。
横内所長は「今後トマトだけでなくミカンなど色々な農作物でジュースを展開し、それを使ったレシピ公開なども考案したい。これを通じて地場産業の活性化を図っていきたい」と話している。
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