巡り地蔵の馬絹地区世話人とお宿を代々務める 目代 鉄男さん 馬絹在住 68歳
伝統紡ぎ地域つなぐ
○…子どもの健康や子宝に恵まれるよう願掛けし、家々を泊めて巡らす「巡り地蔵」。馬絹地区の取りまとめを行う世話人を代々担っている。馬絹町内会会長なども兼任し、地域のために奔走する毎日。「祖父は宮崎台駅誘致の取りまとめをしていた。地域を先導するような祖父に育てられたから、特別な意識はない。この辺りの旧家のお宅はみんなそうなんじゃないかな」
○…中学生の時に父が他界し、祖父に可愛がられた。当時は牛を飼っている家も多かったが、その頃から田園都市線の開発で、街は一気に開けていった。「昔は馬絹神社の山よりも宮崎台の山の方が高かったんだよ」と懐かしむ。中学を卒業し、祖父が栃木に買った農場で汗を流し、再び馬絹に帰ってきたのは祖父が亡くなった20代半ばの事だった。
○…祖母がとても気に入った九州育ちの妻と結婚。地蔵のご利益あってか1男3女に恵まれた。事務員として働き、定年と同時に町会役員に。「『定年した農家の長男』は狙われるんだよ」と苦笑い。初年度に副会長となり、会長が体調を崩し半年で会長代行、とんとん拍子で会長となった。「まわりが良くやってくれるからできている。みんなのおかげだよ」と感謝。多忙な毎日の息抜きは、そんな仲間と一献傾ける一時だ。
○…巡り地蔵が来る際は、嫁いだ娘たちも帰省する。長女の出産を皮切りに、この1年で孫が4人になり「今年のお宿は賑やかだった」。コロナウイルスの影響で町会長が出席する数々のイベントも中止に。時間に余裕ができたが「子守でなく孫守(まごもり)で大変だよ」と目尻を下げる。「古くから伝わってきたこと。今のご時世なかなか難しいだろうけれど、下の世代に繋いでいかなくては」
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4月26日
4月19日