「第58回かわさき市美術展」で最優秀賞を受賞した 千葉 純子さん 麻生区在住 64歳
迷いを越え「私らしく」
○…自宅周辺を散歩中、ぶら下がっているニンニクが目に入った。「『描いてみろ』ってニンニクが言ってきた」。直感に従った。絵に自信を失っていた時期だった。生命の力強さを筆で表した。こちら側をじっと見つめる生産者の姿も描き、その人の生活や人生観も表現。20回以上応募してきた思い入れのある美術展で、初めての最優秀賞だ。「やっと、自分が一番納得できる作品をつくり上げられた」。自分らしい表現で描き切った。その表情は、充実感に満ち溢れていた。
○…社会や学校に反発していた高校時代。2回の留年。学校を辞めようとしていた時、日本画家・小倉遊亀の作品に出合い、心を動かされた。「画家にならなくちゃ」。弟子入りを志願するも「美術大学に行きなさい」と優しく諭された。高校卒業後、予備校に通い、多摩美術大学に進学。大学院まで日本画を学ぶ。「あの出合いがなかったら、全然、違う人生を歩んでいたわよ」
○…結婚後は4人の子育てに奔走。「こんな風に描きたい」。そんな気持ちが消えた。「食べ物が”お弁当のおかず”にしか見えなくなった」と振り返る。絵を控えた時期もあったが、最後だと思って描いた作品を見つけてくれた人がいた。それがうれしく、50代から再び絵を始めた。「認められたい」。そんな強い気持ちで、さまざまな公募展に応募をしてきた。
○…地元のこども文化センターで絵や工作を教えて30年近く。子どもたちが上達する姿を見るのが楽しくなってきた。「自分の子育ての時は余裕がなくて。人の成長を喜べるようになったのかな」。他人の評価を気にしながら絵に向き合っていた時もあったが、「本気だったら認められなくてもいいかな」と、今の素直な心境を明かした。
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4月25日
4月18日