高津区版 掲載号:2017年11月10日号
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連載第一〇二〇回 高津物語 「二子玉川」

 二子玉川園の駅前を出て玉川通りを横断し、多摩川沿いに西に進む。

 玉川通りの手前を右折、通りに沿って進み、突当りを右に行くと玉川と野川に合流する辺り、兵庫島河川公園が見えてくる。

 その公園前の池の辺りまでが川崎市との境である。

 昔、新田義貞の子、義興が上野国より鎌倉へ向かう途中、敵に謀られて最期を遂げたとき、同じ船に乗っていた家臣、由良兵庫助の屍が流れついたという言い伝えから、兵庫島といわれる。

 兵庫島を渡り園内に入ると、さわやかな川風にさそわれたのか、芝生で寛いだり、そぞろ歩きをする人を数多く見かける。東急線の車窓から見た風景だ。

 園内には、歌人、若山牧水が瀬田に住んでいた頃に歌ったという

 「多摩川の

砂にたんぽぽ

咲くころは

我にも思う人の

あれかし」

 と刻まれた石碑も立つ。

 脚気(かっけ)療養のために瀬田で一カ月ほど過ごした牧水は当時十九才、明治三七年の八月から九月にかけて多摩川に来たらしい。

 当時の日記の中に、若き牧水が熱い想いを寄せていた「もよさま」という女性のことが記されている。牧水より年上だったが、瀬田のある旧家のお嬢さんでよく瀬田の辺りや多摩川を散歩していたらしい。

 兵庫島を出て駅方面の橋を渡る辺りの上流が万葉集に出てくる有名な和歌

 「多摩川にさらす

手作(たづく)りさらさらに

何ぞこの児の

ここだ愛(かな)しき」

万葉集巻十四の歌の現場。『高津物語』の最初の方に登場した和歌である。

 左の方、二子新橋ブランド方面には読売飛行場があった。読売新聞のマークを付けた飛行機が止まっていた。暖かい春の陽気の時なぞは土手沿いに成城方面に歩くことをおすすめしたい。

 若い頃に、新婚の僕等は、日曜の度、歩いて盧花公園から成城まで歩いて行った。いろいろな人達の家があり俳優さんの家があったりして、楽しかった思い出だ。
 

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