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高津区 コラム

公開日:2017.12.08

連載第一〇二四回 「多摩川大洪水」
高津物語

 幸いにも、今の人たちは多摩川の大洪水を知らない。



 こう書いている私自身も、経験したことがないのだ。



 おそらく現在の高津区では誰も知らないだろう。



 一二〇歳の年齢の人がいれば知っていたかもしれないが、誰も知らない。



 知らないという事実は、善いことなのか、悪いことなのか、今の私には判断する材料もない。



 考えてみると、多摩川の氾濫を知らない等と言って、陽気に構えていると、多摩川の洪水があるかもしれないのだ。



 災害は忘れた頃にやってくるという。



 災害の恐ろしさは、肝に銘ずるべきだと思っている。



 といって、災害のことを話し合う人も一人もいない等と思っていたら、ありがたいことに、本紙に掲載した写真と本文を見て、当時の写真の掲載誌のコピーをお送り頂いたのだ。



 送って頂いたのは横浜市緑区十日市場町の相沢雅雄さんで、私の母の弟の子―私の従兄弟で『タウンニュース』高津区版をインターネットで読んでは批評してくれる頼もしい助っ人だ。



 その写真の説明に「玉川二子の渡 大洪水ノ光景」という説明書きがある。



 頂戴した書簡には、「『高津物語』第一〇二二回、『多摩川の大洪水対策』拝読いたしました。大洪水被害が各地で発生したことは、今日多くの人たちが知っていないと思います。このように記事に取り上げ、先人の苦労を知ることも大切かと思います。当時の新聞をご存知のことと思いますが、御参考までにお送りいたします。御笑覧下さい」とあった。



 私は知らなかった。相沢さんの説明によると、手紙には明治四五年五月一八日の消印があるという。



 貴重な史料である。

 

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