高津区版 掲載号:2018年1月19日号 エリアトップへ

連載第一〇二九回 「高津町の転換」 高津物語

掲載号:2018年1月19日号

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 明治四三年(一九一〇)の多摩川大洪水が高津町近代の契機になるとは、誰も予想しなかった。

 しかし、「多摩川改修案」は県議会、貴衆議院を通過した。

 改修費は五八〇万円、神奈川県が百六五万円、政府が半額を負担した。

 工期は大正七年から八年を要し、大正一三年完成した。

 河口から久地までの五里一八町、川幅一八〇間両側に大堤防を築き、下流三里の間は、川底を幅三〇間に掘り下げ、船の出入りを自在にし、川崎一帯を工業化する意図も含まれる画期的改修案で工事に入った。

 『多摩川誌』(国交省京浜工事事務所編)によれば、天正一七年(一五八九)から安政六年(一八五九)までの二七〇年間に、六二回の大洪水があった。

 実に三年に一回の大洪水を先人たちは体験していた。

 明治四三年の大洪水の最高位一五メートルを基準にして、二子橋の高さと多摩川堤防の高さが設定された。

 二子橋の完成した大正一四年(一九二五)以来、二子橋を越える洪水は一回もない。

 だからといって今後もないとは言えない。

 ともあれ、明治四三年(一九一〇)の大洪水は吾が高津にとって、画期的な出来事であった。

 皮肉にも岡本一平が大貫かの子にプロポーズした日が重なった。

 『かの子撩乱』が当時の新聞記事を良く伝える歴史的資料となっている。

 近代最大の洪水としては、その被害状況が、皆目残されていない状況である。

 多摩川堤防建設から百年、「災害は忘れた頃にやってくる」を肝に銘じていたいと思う。
 

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