高津区版 掲載号:2018年3月2日号
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連載第一〇三五回 「多摩川と岡本太郎」 高津物語

 高津地区の近代化は明治四〇年と明治四三年の二回にわたる多摩川大洪水に起因する。瀬戸内晴美の東京女子大学の卒業論文『かの子繚乱』がこの大洪水に遭遇した一平、かの子を活写して大洪水の日を婚姻届の日としたのも、波乱万丈の結婚生活の生涯を予言するものだった。

 その結果が子ども岡本太郎に及び、日本人に稀な独特の個性の源になった。

 それもこれも多摩川大洪水を原因としていて、この土地の風土を身をもって体験しない人には理解し難い問題であると私には思われてならない。

 三〇代の頃に私の所属する高津青年会議と高津仏教会の共催で『岡本太郎、瀬戸内晴美講演会』を高津区民祭で開催したことがあった。そこで私は「話」に命を懸けている岡本太郎を見た。自分に嘘を吐かず、本当のことだけを自分の言葉で話していた。

 多摩川大洪水で父母が結ばれ、紆余曲折の挙句、多摩川の清流に何度も身を投げようとしたかの子母子。高津区民祭に来た岡本太郎が描いた「高津」が区役所や高津駅に飾られている。多摩の横山と府中県道、真ん中を多摩川が四本流れるが、私には岡本太郎が母かの子と身を携えて飛び込もうとした回数を示していると思われるのだ。

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