連載第一〇五一回「ラジオ深夜便に出演」 高津物語
タウンニュース『高津区版に連載を始めたのは、私が六十歳になる平成八年五月二三日、高津区版創刊と同時のことだった。
元来、書くことは嫌いでなかったが二十年間毎週書く運命になろうとは、正直予想もしなかった。
結果として、二十年間黙然と書き続けたということが、NHKラジオ深夜便のスタッフに奇異に思われ、結果「ラジオ深夜便」出演となったと思っている。
録音は高津市民館グループ室だった。立合者は文化協会事務局の田村富彦氏、聞き手はラジオ深夜便の川野一宇アナウンサーである。
最初川野さんは、私の対面に居たが、「では初めます」と言って立ち上がり、私の斜め後方に立って、質問が始まった。まるで警察の事情聴取の場の様で、私は慌て恐怖を感じた。誘導尋問のように、質問が次々にきて、私はハラハラドキドキしながら懸命に答えている。
中・高校と毎朝礼拝があり、賛美歌を歌った経験が私の声帯を鍛えたのか、八十歳を過ぎた今でもボーイソプラノの美しい声のままで、良く通るのは幸いだ。
川野さんは色々な事を訊ねられた。
私の現職時代、赤い自転車で区内を駆け回り、区内の企業に郵便局の給与預入をセールスして回った話をした。今は無き「東京フーズ」や「嶋崎文教堂」「旭ダイヤモンド」「信愛製作所」等が導入して下さった企業であるが、社名は伏せたが、いつも自転車で外に出ていたと思う。偶然に『高津物語』を書き始めて、私の人生は変わってしまったが、こうして毎週原稿を書いて健在ぶりを証明できるのは有難き幸せと感謝しているこの頃だ。
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4月26日