高津区版 掲載号:2018年12月7日号
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連載第一〇七三回「平賀栄治【2】」 高津物語

 太平洋戦争を経験したと言っても、私は小学校二・三年生であったから殆ど知らない、判らないという部類に入っている。

 言ってみれば、戦争でとても可哀想な運命に入った部類に入ると思う。

 それに対し、平賀栄治が、太平洋戦争の間、全期間を通して、平瀬川・円筒分水・二カ領用水掘削を、たった一人で、黙々と作業を続けていたというのだから、その努力に対して、最敬礼をしなければならないと思う。兎も角も、凄い人なのだ。

 十一月二五日の日曜日に、私は多摩図書館主催の「川崎の歴史・平賀栄治」という題で講演会を行った。一つの机に二人ずつ座って、ほぼ満席であって安心をした。

 マイクは無く、水を飲みながら、地声で二時間喋り続けていた。

 声は中学校・高等学校とミッション・スクールで、毎朝礼拝があり、讃美歌を真面目に歌っていた甲斐があって、今でも自慢ではないが、八十二歳のボーイ・ソプラノの声が持ち味である。

 戦時中、久地の円筒分水に行けば、平賀栄治に遇えたものを、頭から、天で、考えもしなかったのは、何とも残念な気がするが、仕方ない。二カ領用水の現場に行けば、平賀栄治に遇えたものとも思う。それもしなかったのも、何とも愚かな男か、と自分で自分を責めている。

 平賀栄治は学徒動員の学生に命じて、セメントを捏ねたり、塗装したりしたらしい。

 セメントは、神奈川県知事が、特別に供給してくれたこともあって、潤沢に使い切った様だ。平賀栄治のために「日本ヒューム管工業kk」が「津田山駅」に移って来て、現在の「下作延小学校」の土地を全部使って営業していたようである。

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