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高津区 コラム

公開日:2025.10.03

検証 福田市政㊤
描く未来へ抜かりはないか
子育て支援・教育に注力

 10月12日告示、26日に投開票される川崎市長選挙。本紙は、3期目・4年間の福田市政を2週にわたり検証する。

   ◇ ◇ ◇

 川崎市が誕生し100年を迎えた昨年度、市内では節目を祝うさまざまなプロジェクトが行われた。その記念事業実行委員会の委員長となった福田紀彦市長の主導の下、参画した団体・企業は約400、「重ね合わせることで新たな価値や行動を」と呼び掛けて実施された事業や催しは700を超えた。行政独自では難しい取り組みを、民間の資金と人材を活用し実現させたのは、福田市長が掲げる「市民派市長」としての10年余りの実績を示した格好ともいえる。同時に開催した「全国都市緑化かわさきフェア」では秋春2期制を全国で初めて導入し、来場者は約162万人、市内への経済波及効果は88・7億円と推計。児童生徒による花苗づくりや、市民ボランティアの輪を広げ、来場者アンケートでは「花や自然への関心が高まった」という声が9割近くに上った。

 その実行委員会も当該年度を終え解散。「次の100年へのレガシー」を合言葉に、「100+1」のポスターを市内に掲出するが、重要なのは検証だ。官民連携の持続性、緑化フェアの会場となった等々力緑地の再編整備で注視される樹木伐採計画も含め、100周年が一過性で終わらぬように。十分な検証なくして前には進めない。

 また福田市長が力を入れてきた取り組みの一つが子育て支援だ。希望しても認可保育所などに入れない待機児童は5年連続でゼロを維持し、保育士や看護師ら専門職への相談も可能な支援拠点「保育・子育て総合支援センター」の設置を進め、提供を始めたかわさき子育てアプリも刷新の方針。中学3年までを対象としていた小児医療費の助成は、18歳を迎えた年度末までに拡充し、一部負担金撤廃を表明。一方、小児ぜん息患者医療費支給制度は廃止した。

 周辺自治体や時代の流れに合わせて政策を打ち出してきたが、市内の人口が年々増える一方で、子育て世代にあたる30〜40代は市外への「転出超過」が続き、転入との差は5年間で1万3千人超に。東京都の保育料無償化などから見える財政支援での自治体間競争では分が悪く、福田市長の「国が一律で整備すべき」との主張もかなわない中、支援の質やきめ細かさ、環境への配慮がどこまで届いているか。少子化対策にもつなげ、子育て世代から選ばれる都市になれるかが課題だ。

 教育面では、学習状況調査の対象拡大と、GIGA端末ソフトを連動させた支援策を導入。「誰一人取り残さない学び」を目指し、苦手科目の分析・克服など個別最適化させた指導を進め、今年4月に実施された小4・中3対象の全国学力・学習状況調査の正答率は、いずれの教科も全国平均を上回った。一方で、教員の不足は5年連続で100人を超えており、教育の質低下への懸念は続く。教員の働き方改革が進み、下校時間が早まる中、家庭環境や経済状況による学力格差の拡大も危惧される。増える不登校やヤングケアラーへの対応も、次の100年を描く上で不可欠だ。

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