高津区 コラム
公開日:2025.11.14
寄稿コラム
お葬式で「豆腐」を食べる理由とは?
「家族葬のすずき」終活カウンセラーが、高津区に残る「清めの風習」を解説
川崎市高津区では、納棺の際に「豆腐一丁と日本酒を口にする」という風習が残っています。全国的にも珍しいもので、初めて耳にした人は不思議に思うかもしれません。しかしながらこの組み合わせには、日本人の「死」への向き合い方を物語る、深い意味が隠されているのです。
■白い食べものとお清めの酒
豆腐は全国各地で、葬送の場に登場してきました。特に関東地方(東京・神奈川・茨城・埼玉)などでは、納棺の際に参列者が豆腐を一丁回して食べる「食い別れ」という習慣がありました。
「白いものを口にして身を清める」「この世との区切りをつける」という意味があり、豆腐のほかにも大根や餅、白飯など、やはり「白い食べもの」が選ばれています。白は日本文化の中で「清浄」「再生」を象徴する色。死の「穢れ」を払うために、白を食すという発想が生まれたのでしょう。
川崎市内や神奈川県の一部では、まずお酒を口にし、その後に豆腐を食べるという手順で「身を清め、気持ちを整える」とされています。お猪口の一口分の酒は、「神前での清め」と同じ意味合いを持ち、まさに静かな儀礼の一部なのです。
■豆腐という素材のやさしさ
豆腐は、古くから「角が立たない」「やわらかく清らか」「誰でも食べられる」食べ物として親しまれてきました。葬儀の場で豆腐を口にすることは、亡き人を供養するだけでなく、残された者の心を鎮める「小さな祈り」でもあります。
地域によっては「角を立てぬよう四隅から食べる」「食べ残しは喪主がいただく」などの作法もあり、そこには「争わず、穏やかに別れを受け入れる」という願いが込められています。
■おわりに
日本の葬送文化には、「白」「酒」「食」というキーワードがたびたび登場します。納棺の豆腐と日本酒もまた、「悲しみを静かに受け入れる」ための象徴的な儀礼。
身近な豆腐と一口の酒に、そんな深い意味が宿っていると思うと、私たちが生と死をどう受け止めてきたか、その想いと知恵を感じずにはいられません。
今回、コラムを寄稿してくれた終活カウンセラーの鈴木まみ氏は、久地に支店を構え地域密着を掲げる「家族葬のすずき」の本店(横浜市)において、終活や葬儀についての相談に無料で応じている(要・事前申込み)。詳細問合せ、申込みは左記へ。
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