川崎市議会議員 三宅隆介 市政報告 「白票」を選挙結果に反映させよう 得票数が「白票数の一定倍率以下」なら落選に日本の政治を変える私の一案
議会での質疑は、議員活動の中でも最も根源的な議員活動である。だが、現状は客観的にみても多分にお粗末なものが多い。
例えば一つの政治的あるいは行政的課題があるとする。
質問の前にまず議員として為すべきは、その問題についての現状を把握し、それまでの行政の取り組み方についての検証と分析を入念に行うことだ。その上で質問に立ち、新たな解決策を理論的かつ具体的に建言し、質疑においてデータを含めた「理」と将来を見据えた「利」を説いて行政を説得するのである。それが行政運営に反映され問題の改善を実現できれば、これぞ議員冥利に尽きる。(例えば私の場合、救急搬送時の現場滞在時間の短縮化の実現がそれであった)
お粗末な質問も
お粗末な質問パターンを紹介する。
■質問1.現状はどうなっているのか?
■質問2.行政としてどのように対応するのか?
■質問3.わかりました。ぜひ、頑張ってください。
要するに、現状とその対策について質問するだけ。質問3に至っては質問ではなく、行政をただ激励するだけだ。それも軽く激励しただけなのに、「当局に対して強く要望しました」とか宣伝する厚かましさだ。これなら小学生でもできる。このほか、市役所の職員に質問文を作成してもらっている議員さえいる。
これらは一例にすぎない。自分の選挙区にこのような「子ども議会」を地でいくような市議会議員しかいなければ、有権者はどう思うだろうか。地方議会選挙の投票率の低さが、つまり有権者の関心の低さが言われて久しいが、その原因には議員の質の低さを有権者が直感的に感じていることがあるのではないか。その結果、市議会に対して関心を抱かず、選挙に行く気にもならないだろう。投票率など上がるべくもない。
民意で定数削減
そこで、私の一案。
当選に必要な得票数を、白票数の一定倍率以上とし、得票数がそれ以下の候補者はすべて落選としたらどうであろう(割合は別途議論が必要)。仮にすべての候補者が落選する選挙区が出た場合は、当選者不在の選挙区、あるいは定数割れをおこす選挙区などが発生するが、そういう選挙区はそのまま議員不在にすればいい。自然、定数の削減につながる。国会も地方議会も定数の削減を唱えているが、一向に進んでいないのは周知のとおりである。斯く言う私も定数削減を執拗に訴えつづけて会派を追い出された口だ。だが、このような方法で白票数を当落に反映させれば、定数は民意によって削減されていく。
かくして、議員は必死になって仕事をし、投票率は上がり、民意による定数の削減も可能となる。これぞ一石三鳥の改革案であると確信する。何よりも、これまで薄かったであろう地方議会への関心が大いに高まるだろう。
こうした議員選挙の当落への白票反映は、『公職選挙法』を改正するだけで実現できる。この法律の法定得票数の規定を変更し、「当該選挙において得票数が白票数の○○を満たさなかった場合には当選人になれない」という条文を盛り込めばいい。憲法との関連を言う人もあるかもしれないが、外国人地方参政権のように国民の選挙権を侵害するものではないので、それこそ新時代への地方からの挑戦として、特区制度と時限立法を組み合わせて実現してみたらいい。
求められる資質
地方への権限移譲や分権の議論の前に、まず地方議員と首長の「質の向上」が不可欠である。いまや地方議員といえども、世界史と地球儀を頭に入れ国際金融、地政学リスクなどのグローバル・アジェンダの動向を絶えず注視していなければならない。なぜなら現代はデジタル情報処理技術の飛躍的な進歩、実需なき金融の肥大化、そして「グローバル化」により我が国も今まで以上に国際的連関に組み込まれており、川崎市などの政令指定都市は特に過酷な国際競争に曝されているので、国際的視野をもった戦略的な行政運営なくしては立ち行かなくなっているからだ。
当然、議員として有すべき問題意識も戦略的でなければならない。高齢化への対応をベースにしつつ、税負担と社会保障のバランス、インフラ施設の更新、産業政策の国際展開などなど、行政の戦略的課題は山積している。街の町会長と同じような仕事しかこなすことができない議員であるのなら、もはや不要である。
三宅隆介
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5月3日
4月26日