川崎信用金庫登戸支店は先月、保育所を併設した店舗として仮店舗から移転。4月1日には保育所が開園し、約50人の園児が入園した。信金業界で、新築店舗への認可保育所併設は初の試み。待機児童対策の一助にもなりそうだ。
同店はJR南武線登戸駅と小田急線向ヶ丘遊園駅の中間に位置し、建物は鉄骨造の地上4階建。1階から3階は店舗や会議室、4階を保育所、5階屋上を保育所の園庭とした。併設された「登戸ゆりのき保育園」は社会福祉法人セイワが運営する認可保育所。0歳から5歳までの80人を預かることができる。
街の防災拠点として機能できるよう、屋上に非常用発電機を設置。園児のための紙おむつや粉ミルクも保育所とは別に備蓄していく方針だ。
同金庫の中川哲也総務部長は「子どもたちが集まれば、まちのにぎわいにつながる。今後は防災訓練など店舗と保育所で連携して取り組んでいきたいと考えている」と話す。
同金庫は、老朽化のため登戸支店の建て直しを2013年春ごろから検討。翌年に川崎市と締結した包括連携協定に基づき、駅へのアクセスが良い好立地を生かして地域貢献できる施設を建設したいと、待機児童解消のために市の保育所整備事業に協力した。
金融業は本業へのリスクを避けるため、他業を営むことは禁止されているが、本業と密接にかかわる「その他の付随業務」や「余剰資産の有効活用」としてなら認められている。中川部長は「地域の課題解決に役に立つ施設として建設したかった」と思いを話した。
多摩区内には41の保育所があり(2016年9月時点)、今年4月からは同園を含め新たに4園が開所した。昨年の市の保育所整備事業において、登戸駅から半径1キロメートル以内は保留児童が著しい地域として、保育所整備が重点的に必要なエリアとして位置づけられていたという。
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