多摩区役所10階の危機管理担当窓口に、手作りの「家具転倒防止キット」が先月から展示されている。製作したのは多摩消防署から今年度、同担当に配属された後藤義文さん(47)。地震対策の一つとして、ミニチュアの家具で実際の転倒の様子や、転倒防止の方法を伝えていく。
この家具転倒防止キットは、全国展開している体験型の防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」のワークショップを参考に製作。100円ショップなどで材料を揃え、外枠や家具から自作した。たんすを壁に固定するL字金具や突っ張り棒、扉や引出しを開かなくする器具、本棚のすべり止めなど、実際にできる対策を再現。持ち運びできるよう折り畳み式にし、キャスターも取りつけた。
防災力強化を目指す川崎市は、今年度から各区の危機管理担当に訓練担当係長として消防職を配置。警防活動に長年携わり、東日本大震災では福島第一原発にも出向した後藤さんは「今までほぼ救助の現場。経験を生かして予防のことに取り組めけたら」と、キット製作にも進んで手を挙げた。
阪神・淡路大震災の直接死の死因は、7割以上が建物の倒壊や家具の転倒等による窒息・圧死だったという。区地域防災担当の青柳努さんは「キットで言葉や資料以上のことが伝わる。後藤さんから現場の考えを聞けるのはすごく貴重」と話す。
今後は8月の防災フェアのほか、9月と11月に行われる区総合防災訓練などでキットを活用する予定。後藤さんは「子どもにも見てもらえるよう工夫した。啓発に役立てていければ」と語った。
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