川崎市によると、児童相談所(児相)が受けた児童虐待の相談・通告件数が2017年度に2368件あり、10年間で約4・8倍に増えていることがわかった。市は対応にあたる児童福祉司を4月から7人増やし、59人体制にする。児童虐待の防止や早期発見につなげたい考えだ。
児相は、18歳未満の児童を対象に虐待やいじめ、不登校などの相談を受け、里親委託や施設入所といった調整をする機関で、市内には3カ所ある。
児相が受ける相談や通告は年々増加しており、17年度は2368件で過去最多に。事後調査で虐待が確認できなかった事例を含み、10年前の493件から1875件増えている。5年前からは区役所への通告件数も集計しており、17年度は895件だった。
市児童家庭支援・虐待対策室の担当者によると、ここ数年は毎年10%程度増えており18年度も増加傾向だという。「児童虐待への注目がより高まったことで、子どもを社会全体で守るという考えが広がり、通告が増えたのでは」と分析する。
増加を受けて市は、児相の専門職である児童福祉司の増員を16年から3カ年計画で進行中。4月からは児相3カ所で7人増の59人になる。児童虐待が疑われる場合、福祉司は保護者の同意が得られなくても警察との立ち入り調査が可能。子どもの安全を確保する必要な措置をとることができる。
通告などへの対応には長期間を要するケースもあるが、地区ごとに担当する福祉司が取り扱う件数は、1人あたり101件(昨年9月時点)。国による基準の40件を大幅に超えている。市担当者は「疑いがあれば現場に行って確認しなければならず、通告の増加に伴い対応は増えていく」と話す。
厚生労働省は、問題意識の高まりを受け、福祉司をさらに増やす計画を策定。4年間で、17年度までに配置された3253人の1・5倍にあたる5200人程に増やす想定だ。市担当者は「専門職の取り合いになるなど、人員を確保できるか大きな問題。国の動向を注視したい」としている。
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