地元農家のブドウやイチゴを使ったワインの生産を促進しようと、川崎市は今月、「かわさきそだちワイン特区」の認定を国に申請した。今年度中に認定される見通しで、県内では初。多摩区でも体験型仮想集落「カワサキトカイナカヴィレッジ」(東生田)のほか、2軒の農家が製造に意欲を示している。
酒税法では、ワインや日本酒など醸造酒をつくる免許の条件として、年間6千リットル以上の最低製造基準を規定。しかし、今回の市の申請で国の構造改革特区に認められれば、少量でも自前で醸造し、運営する飲食店や宿泊施設での提供ができるようになる。
市はワイン特区についての聞き取りを市内農家に行い、多摩区3軒、麻生区と宮前区の各1軒から果実酒製造の意向を確認。提供施設がない農家もあったが、申請に踏み切った。
市経済労働局の担当者は「特色ある川崎の都市農業を発信することができる。観光農園として集客にもつながれば」と期待感を示し、「(製造に)参加してくれる農家を増やしたい」としている。特区申請について市はこれまで内閣府と調整を進め、3月までに認可予定。市は4月から農業者向けに広報を行い、2025年までに3軒の製造施設の開設を目指す。
里山で体験企画も
農作業やキャンプ、田舎の食事作りなどが体験できる里山施設「トカイナカヴィレッジ」では、他区の農業生産法人や農家と連携し、ブドウの苗植え体験やワイン試飲会を計画中。市内産のブドウやイチゴ、カキの活用も視野に入れる。研修室と近日開店予定のレストランを備える施設「村役場」で、仲間同士の勉強会も検討。里山を所有する松本穣さん(75)は「地域の人たちが集えるコミュニティセンターのような場になれば」と思いを語る。運営を担う西山雅也さん(54)は「農業体験の場づくりが、観光振興にもつながる。北部農業の起爆剤にもなり得る」と力を込める。
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