上小田中の神明神社に保存されていた川崎市地域有形文化財の「八百八橋(はっぴゃくやばし)」を使った庭園風の憩いの場が完成した。今年4月から計画を進めていた氏子崇敬会と奉賛会の有志7人は「地域に伝わる大切な歴史。多くの方に訪れてもらえたら」と話す。
八百八橋は、江戸時代後期に上丸子村にいた野村文左衛門が、二ヶ領用水の支流の木製の橋が洪水のたびに流出するのを見て、私財を投じて架けたと伝えられる。地域のためにといくつもの石橋を作ったとされ、同神社には18枚が残っている。
今回の計画では18枚すべて使って境内の一部に、支流の流れをイメージした小石に橋を架け、実際に渡れる場所やベンチなどを整備し、庭園風に仕上げた。解説板も設置し、八百八橋を周知し、楽しんでもらう工夫も施した。
歴史継承の担い手に
同神社の八百八橋はこれまで何十年もの間、塀の脇に並べて置かれ、歴史を知る人でないと存在に気付きにくかった。2018年に市地域有形文化財に登録されたことを機に、保存方法の見直し案が浮上。予算の都合で当初の計画が頓挫した時期もあったが、「地域の歴史を引き継いでいきたい」と今年4月に氏子崇敬会の有志6人と奉賛会の1人でプロジェクトチームを立ち上げた。中原区役所や御蔵稲荷神社(小杉御殿町)など同じく八百八橋が残る区内9カ所の保存方法を調査したり、配列のアイデアを出し合うなどして案を作成。工事は地元の石留石材店が担い、11月初旬に着工し、延べ8日間で完成した。メンバーは「野村文左衛門の偉業や文化財を良い形で残せて良かった。大切に守っていきたい」と話す。
今後、持ち帰り可能な解説ガイドを設置し、脇に中原区の木である桃の木を植樹する予定だ。
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