戻る

中原区 人物風土記

公開日:2023.12.22

川崎在日コリアン生活・文化・歴史研究会の代表を務める
山田 貴夫さん
川崎区在住 74歳

知識、経験を地域に生かす

 ○…差別をなくし、多文化共生社会の実現に尽力する中で、危惧するのは歴史の風化だ。「例えば、多文化共生の象徴である川崎市ふれあい館が設立されたいきさつを知らない市職員もいる。変わった子ども文化センターという認識くらいしかない」。自ら、川崎市職員として外国人市民代表者会議の立ち上げなどの共生施策に取り組み、大学の非常勤講師として日本の中のエスニックマイノリティをテーマに教鞭をとってきた。「これまでの経験を地域へ還元したい」との思いを胸に日々活動を続ける。

 ○…慶大に進学し、作家・小田実らが結成した「ベトナムに平和を!市民連合」(べ平連)に参加。海江田万里衆院議員は同級生で、今も連絡を取り合う仲。べ平連では在日韓国人二世の採用内定取り消しをめぐる「日立就職差別裁判」を支援。在日大韓基督川崎教会(川崎区桜本)の青年たちと交流を深めたのが現在の活動の始まりだ。

 ○…72年に市役所に入庁。最初に配属された田島支所では外国人登録の仕事が待っていた。「俺が外国人の指紋をとるのか」。複雑な思いを抱きながら、裁判支援の仲間に相談すると「入管登録実務は誰も分からない。お前が見てこい」と逆に励まされた。それから約10年業務に従事した。

 ○…「この地域にはニューカマーが多く住むようになってきた。在日の人がいろいろな差別をなくす取り組みをしてきた成果」としみじみ。今夏には「まちがミュージアムMAP」を仲間と共に作成した。川崎南部で多くの古老の聞き取り調査や、地域生活史などの研究に携わってきた人たちの成果を基にした資料。「今後はMAPを活用しフィールドワークの実施や市民グループ、学校関係者の学びを手伝いたい」と前を見つめる。

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

中原区 人物風土記の新着記事

中原区 人物風土記の記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS