日本映画大 市民を「シニア俳優」へ育成 高齢者多い地域性いかす
麻生区万福寺や白山にキャンパスを構える日本映画大学が9月から、川崎市民の50歳以上の俳優の育成・発掘に乗り出す。シニア層の多い麻生区近隣で、「シニア俳優」の新たな人材を見出していく考えで、経験を問わず募集する。映画人の育成を手掛ける株式会社映画24区(東京都渋谷区 三谷一夫代表取締役)と共同で行い、大学と企業が連携する新たな試みとなる。
映画監督や脚本家など多くの映画人を輩出してきた同大学。今年9月から、川崎市民を対象に俳優の育成を行うワークショップ「俳優大学〜50歳からはじめる俳優体験」を開催する。
ワークショップでは、映画監督・脚本家である同大学の天願大介教授が総合監修を務める。講師には、同大学の前身である日本映画学校俳優科でお笑いコンビウッチャンナンチャンの指導にあたった河本端貴氏、俳優の井村昴氏を迎える。前身の日本映画学校には俳優科があり、多くの俳優を輩出してきたが、シニア層における俳優育成に関しては新たな取組みとなる。プロの俳優育成で実績のある株式会社映画24区が管理、運営にあたる。
同大学の天願教授は「訓練すれば誰でも俳優になれる。舞台に立って客席を眺めた時、人生観が変わる」と語る。同社の三谷代表取締役は「役者としてのキャリアではなく、人生経験が豊富な方だからこそ表現できることは必ずあるはず」と話している。
初年度は試行期間として9月、10月、11月に短期の演劇形式のレッスンを中心に実施する。生徒は50歳以上の男女であれば、演技経験がなくても参加可。各講座とも受講料あり。
地域貢献にも一役
2012年4月1日現在、麻生区の総人口168872人に対し、65歳以上の人口は32227人で、高齢化率は19・08%(川崎市全市の高齢化率は17・11%)。市内では川崎区、幸区に次いで3番目に高い数値となる。
株式会社映画24区は日本映画大学のある麻生区近隣の、こうしたシニア層が多い地域性に着目した。同社は「映画業界の中で年配の役ができる俳優は限られている。新しいシニア層の俳優市場が活性化することを期待している」としている。
また、同大学は「大学と企業が連携し、地域とも一緒に進めていく新たな試み。学生以外の地域の方々に向けて育成を行う取組みなので、地域貢献にもつながる」としている。
ワークショップは9月から11月までに全3回、同大学内で開催される。申し込み・問い合わせは同社事務局(【電話】03・3497・8824)まで。
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