簡易宿泊所 市が居住者の転居支援へ 民間委託で9月から
建築確認申請では「2階」にも関わらず、実質「3階」となっていたことから被害が拡大した可能性のある川崎区の簡易宿泊所の火災を受け、市は同宿泊所に住む生活保護受給者らに対しての住宅支援事業を今年9月からスタートさせる。開会中の今市議会で一般会計補正予算案に1800万円を追加計上した。
49棟中「実質3階」は32棟
この火災は、5月17日の未明に川崎区日進町の簡易宿泊所「吉田屋」から出火。「吉田屋」と隣接する同じく簡易宿泊所の「よしの」が全焼した。事故後の調査で火元となった「吉田屋」は1960年の建築確認申請で「木造2階建」としていたが、火災時は実質3階建だったことが認められた。
事故後すぐに同区内の簡易宿泊所を対象に、市まちづくり局、消防局および健康福祉局、保健所による合同の特別立入検査を実施。その結果、建築基準法による検査では、対象49棟に対し火災のあった建築物と同様に木造で3層目への出入りを行う建築物は、出入り方法は異なるものの32棟あった。また、消防法による検査では、47対象49棟に対し、火災のあった建物と類似し、階をロフトのように区切った棚状の構造を有するものが31対象32棟あった。また、旅館業法による検査では48施設で調査。管理運営状況においては不適の判定が「営業許可書の掲示」が19、「届出内容の変更」が21、「宿泊者名簿の管理」38だった。一方、衛生に必要な措置の不適は「営業施設内外の清掃状況」が2、「寝具類の管理状況」が1だった。
同検査を受けて市は5月26日にまちづくり局、消防局、健康福祉局の担当者や川崎区長らが出席して「市簡易宿泊所火災事故対策会議」を開催。実質木造3階建の簡易宿泊所について、早急な対策として所有者に対して3階部分の使用停止を申し入れると同時に、入居者には転居支援を行う方針を打ち出した。
市はその後具体的な支援策として、民間事業者などに委託して住宅支援を行う方針を決定。現在開会中の市議会定例会に一般会計補正予算として、委託料約1800万円を計上した。
市によると支援事業は9月から始める予定。事業者は今夏公募する。事業者は、身寄りがない受給者が賃貸住宅に転居しやすいよう、緊急連絡先になるほか、不動産物件の紹介や内見の同行の同行などをする。また、地域生活になじむための相談に応じるなどの支援も行うという。
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