川崎地方自治研究センター(江井茂理事長)と川崎市職員労働組合(野坂智也中央執行委員長)はこのほど、川崎市の決算から財政状況を分析した財政白書を発刊した。
同センターと同組合は、市が総務省に提出する決算カード(地方財政状況調査票要約版)をもとに、09年から毎年白書を作成。予算と決算には2年のタイムラグがあり、今回は16年度が対象。
センター事務局長を務める大橋嶺之介さんは決算分析の意義について「自治体の収支構造を理解する手掛かりが『決算カード』。予算は支出と収入を記載した財政計画であり、いわば見積書」と強調。「決算-予算-決算のサイクルで財政をとらえることで、収支構造とその経年変化や問題点が明らかになる」と述べる。
発刊された白書はA4サイズで132ページ、計3章で構成。1章では国の財政再建と地方財政の関係についての論考を掲載。「政府の財政健全化策に限界がみえるなか、そのしわ寄せが地方交付税を中心に、自治体財政の自立性を損なう方向に向かっている」との見方を示す。
2章は「決算カードから見る川崎市の財政」をテーマに、07年からの歳入・歳出、民生費(社会福祉費、老人福祉費、児童福祉、生活保護費)の推移などを他の政令市の状況とともに図表で紹介。
3章は「川崎市における臨時・非常勤の現状分析」と題し、臨時・非常勤の職員数や賃金条件を紹介。「官製ワーキングプア」の状況解消に向けた提言もされている。
大橋さんは「来年は統一地方選挙の年。本書がこれから候補者が打ち出す政策比べの一助になれば」と語る。
同センターは現在、希望者に財政白書を無料で配布中。配布に関する問い合わせは【電話】044・244・7610(川崎区東田町5の1 川崎市労連会館3階)へ。
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