麻生区版 掲載号:2020年7月10日号 エリアトップへ

特別インタビュー 差別のない社会は実現しますか 和光大学現代社会学科 挽地康彦教授に聞く【2】

社会

掲載号:2020年7月10日号

  • LINE
  • hatena
挽地康彦教授(和光大学現代人間学部 現代社会学科長)
挽地康彦教授(和光大学現代人間学部 現代社会学科長)

 差別について社会学者にインタビューした第2弾。前回(7月3日号)は『何が差別なのか』を聞き、今回は『差別のない社会とは』について解説してもらった。

 ――差別はなくならないのですか。

 「社会学的にいうと、差別があるかないかは、その行為や制度そのものではなく、社会の見方によって決まります。ということは、『差別のない社会』というのは、何が差別で何が差別でないかを判断する基準(規範や価値)が存在しないということ、つまり『ルールも秩序もない社会』を意味します。社会が判断できなければ、差別はそれとして認識されず、どんな行為も許されてしまう。差別自体は許されませんが、差別か差別でないかを判断できない社会も決してよいとは言えません」

 ――差別のない世界はありえないのですか。

 「社会学という学問を通して考えると、『差別のない社会は望ましくない』という逆説的な結論に至りますね。“差別がある”ということは、“それは許されない行為だ”と判断できる規範があるということですから。感情的には差別がない方がよいのですが、社会のしくみとしては、差別がなくなることも怖い気がします。物事を判断できて何が差別を同定できる社会がよいのか、それとも、物事を判断できず何が差別かが分からない社会がよいのか。いずれにせよ、社会の判断がはたらく限りは、『差別のない世界はありえない』ことになります」

 ――先生は前回のインタビューで、『差別か、差別でないかという線引きは、ある社会や時代によって変わる』とおっしゃいました。

 「そうですね。その線引きが変わったから、川崎市で『川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例』ができ、全面施行されたのではないでしょうか。ヘイトスピーチをはじめとする差別行為は許されず、是正しなければならないという考えが、今回の条例につながった。川崎市民がそういう判断をした証だと、わたしは思います。外国籍住民を含め、その地域に暮らす人びとが、差別についてどのように考えるかで、差別をめぐる基準は変わってきます。同じことは過去にも繰り返し行われてきました。市民が社会に何を期待し、社会に対してどのようにかかわるのか。望ましい社会の実現をめざす意識と行動によって、何が差別で何が差別でないかが決まっていくのです」

※次回は『差別と区別』についてお聞きします。麻生区編集室では、人権、多様性などをテーマにした特集記事を不定期で掲載します。

麻生区版のローカルニュース最新6

どんど焼き天高く

どんど焼き天高く 文化

黒川町内会で開催

1月15日号

手水も距離をとって

【Web限定記事】麻生区まちの一枚

手水も距離をとって 社会

高石神社 今年の流鏑馬は中止

1月15日号

集まれ もうすぐ1年生

【Web限定記事】

集まれ もうすぐ1年生 教育

2月スポーツセンターで親子で運動遊び

1月15日号

成人式、宣言下で敢行

川崎市

成人式、宣言下で敢行 社会

出席者は昨年比4割減

1月15日号

ソロ演技で全国準優勝

新百合丘一輪車クラブ

ソロ演技で全国準優勝 スポーツ

長沢小・下田さんと王禅寺中央小・日野さん

1月15日号

新百合ヶ丘総合病院で動画配信

【Web限定記事】聴いて役立つ健康知識

新百合ヶ丘総合病院で動画配信 教育

様々な分野で解説

1月15日号

あっとほーむデスク

  • 1月8日0:00更新

  • 1月1日0:00更新

  • 11月27日0:00更新

麻生区版のあっとほーむデスク一覧へ

最近よく読まれている記事

コラム一覧へ

麻生区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2021年1月15日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク