上麻生の児童発達支援事業所「てくむの森」に勤務する白崎(しらさき)隼樹(じゅんき)選手(28)=多摩区・川崎新田ボクシングジム=が、今月13日に東京・後楽園ホールで行われたプロデビュー戦を白星で飾った。ボクサーと「先生」の両立で、夢の日本タイトルへの一歩を叶えた。
白崎選手はアマチュアで33勝25敗の実績を持ち、元・全日本アマチュア5位。今年10月にプロテストに合格し、同ジム主催興行でデビュー戦を迎えた。スーパーライト級で大峯優真選手=ワタナベ=を3対0の判定勝ちで下した。「試合直前は緊張したけれど、やっとプロデビューというワクワク感が大きかった」と振り返る白崎選手。「プレッシャーもあったが、1戦目を勝ててホッとしている。このご時世、試合ができたことも幸運」と語る。
一度辞め、再びリングへ
高校からボクシングを始め、日本体育大学に進学するも「大学で辞める予定だった」と卒業後は地元、福井県で就職した。2018年の福井国体を契機に、周囲の後押しもあって競技に復帰。働きながら練習を続け、国体ではベスト8に。1年悩み、プロとして活躍するため今春上京した。
会社員経験があるからこそ、上京時から正社員で働きながら練習をする道を模索していた。そんな折、アスリートの雇用を支援する川崎市の「働き方改革モデル事業」をジム側から提案された。大学時代に取得した中高体育の教員免許を生かし、柿の実幼稚園(上麻生)系列の「てくむの森」に就職。日中は発達障害のある未就学児の療育として運動を教える「じゅんき先生」だ。
現在週4日勤務し、夜は練習に打ち込む日々を送る。教育現場での仕事は初めてだが「子どもたちと接するのは楽しい」と笑顔を見せる。
同事業所の小島澄人代表は「夢をあきらめない姿は応援したくなる。園では、フットワークなど体の使い方も教えてもらっている。まじめな性格で園でも人気者。地道に頑張って、ぜひ夢を現実のものにしてほしい」と応援している。
デビュー戦には同僚が試合会場に来てくれたり、同園系列のカフェでライブ中継が行われ、職員や保護者が応援してくれた。「ボクサー一本で食べていくのは難しいので、職場の理解は本当にありがたい」と白崎選手は感謝を表す。
今後、ボクサーとしての夢は「日本タイトルをとり、いずれは世界へ」。仕事では「子どもたちに向けボクササイズを取り入れたい」と語る。出身地と名前をもとに同ジムの新田渉世会長がつけたニックネームは「越前のハヤブサ」。飛ぶ鳥を落とす勢いで、夢に向かって二刀流で突き進む。
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