戦時中や終戦後の記憶と思いを綴った『詩集 九条川』(土曜美術社出版販売)を、高石在住の高橋嬉文さんが11月末に出版した=写真。
高橋さんは国民学校1年生で終戦を迎えたが、多くの同級生が父親を戦争で失った。戦争を知る世代が少なくなるなか、「多大な犠牲の反省の上に武力を持たず、戦争の放棄を決めた憲法九条が作られた。右傾化する政治に危機感を覚え、戦後生まれの人に読んでほしいと本にした」と語る。
何十年も心の中にあったものをまとめた詩。その一つ「お父さんは」は戦地へ行った父を思う、斎藤信夫作詞『里の秋』の歌詞と、当時の同級生らに寄せた思いを書き添えたもの。小学校でよく歌ったが、父を亡くした同級生たちはどんな思いで歌っていたか。戦死した父親たちの年齢は5人の子がいる42歳、2人の子がいる33歳など。「大人になるとこみ上げてきて歌えない」という。
この他、戦時中最大の言論弾圧とされる横浜事件で連座した、晩年の藤田親昌氏に詩を直してもらった経験も記される。「この本も当時なら捕まり拷問を受けたかも。今は言論の自由もあるが、政治的発言をしづらくなっており言論の封殺が始まっていると感じる」と警鐘をならす。1冊税別1500円。書店で取次、又は高橋さんが営む青葉区のギャラリーコンティーナ【電話】045・508・9487で購入可。
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