東日本大震災からもうすぐ10年--。2月13日未明にも福島県沖を震源とする地震が起きるなど、大きな地震や風水害の発生が危惧されている。そうした災害への備えとして、地域一体となった防災活動を行う「はるひ野町内会」(杉本秀治会長)の取り組みが注目を集めている。1月21日に行われた「川崎市防災シンポジウム」で自主防災活動功労者として表彰された。
麻生区内でも、新しいまちの「はるひ野」。同町内会は、2004年10月に発足し、現在約2000世帯が加盟している。自主防災組織は、07年に設置された防犯部会をもとに14年に独立。現在は町内会組織として、さまざまな活動を行っている。
他の自主防と合同で
その活動のひとつが、「自主防災かわら版」の発行。自宅避難が推奨される中で、自分たちで歩いて調査した消火栓やAEDの設置場所、応急給水地点の場所を広報するほか、自宅の備蓄品、食料品の確認を促すなど、自助・共助の重要性を啓発するため、毎月発行を行っている。
また応急処置講習会や、安否確認旗の掲出訓練、放水訓練活動なども定期的に実施。毎年11月には「防災ふれあい祭」を開催。この催しは、消火栓を使った放水体験をはじめ、水消火器の体験、ゲームやクイズを通して楽しみながら、防災知識や災害発生時に必要な知識を身につけてもらうなど、災害を未然に防止し被害の軽減を目的とした取り組みだ。
また、災害時には、はるひ野小学校・中学校が避難所となることから、同じく同小・中学校が避難所となる黒川や、はるひ野の5つのマンションの自主防災組織と一緒に地域一体となって活動を行っている。国士舘大学との合同HUG(避難所運営)訓練や、合同防災訓練といった町内会内にとどまらない活動にも積極的だ。
そうした活動の功績が認められ、今回、川崎市から自主防災活動功労者として表彰された。杉本会長は「町内会の組織整備と並行して進めてきた『自主防災組織』の活動が評価されたのは嬉しい。2月13日未明に地震があったばかりで、川崎市でもいつ発災するかは分からない。コロナ感染はあるが、できる範囲で防災対策を進めていきたい」と喜びながらも気を引き締める。
情報収集に課題も
一方で、避難所の対応能力、平日昼間の人口減少、自助の意識向上、ペットの避難対策などの課題もあるという。自主防災組織前本部長の服部三平さんは「要救助者・要支援者の情報をどう集めるかも課題。個人情報なので難しい面もある。それでももっと地域にアピールして情報を収集していきたい」と語る。続けて「地域として黒川と一緒にやっていく必要があるが、考え方、地理的な問題もある。もっとみんなと一緒に考えて、いざという時は町内だけでなく地域で助け合っていきたい。ふれあい祭など、楽しめる場で、もっとコミュニケーションを取っていけたら」と今後に向けて抱負を語った。
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