自然豊かな場所で、初夏の夜空に幻想的な光を放つ「蛍」。現在ではその姿を身近で見る機会が少なくなった。「子どもたちに、本物の蛍が飛んでいるのを直接見せてあげたい」--。自宅で蛍の繁殖を行っている百合丘在住の藤田康郎さん(74)は、地元店舗の協力を仰ぎながら、来年に鑑賞会を開催できるように準備を進めている。
今年は200匹
幼い頃から生き物が好きで、凝り性だったという藤田さん。近隣の弘法の松公園管理運営協議会や、百合丘小学校でヤマユリの植栽などに関わっていた。8年程前に、蛍の繁殖を行っている人を新聞で知り、自分もやってみようと思ったのがきっかけだった。
市内外で繁殖活動に取り組む人たちから飼育方法を学び、蛍が自生している場所を探して所有者に交渉してメスを確保。自宅の一部屋を使って飼育を始めた。
始めてみたものの、室温の一定維持や、きれいな水、餌となるカワニナの用意などが難しく、これまでに失敗したことも多々。生育環境に敏感なゲンジボタルの繁殖は難しく断念した。ヘイケボタルは孵化に成功し、毎年飼育。多い時には約500匹繁殖でき、今年も200匹ほどが籠の中で光を灯したという。
「来年を最後に」
これまでに、数回知り合いのところで鑑賞会を行ったことがあったが、基本的には個人で楽しんでいた。体調を崩し、当初の目標だった繁殖に成功したことから、今年で最後と思っていた藤田さん。「育てたからには、子どもたちに見せてあげたいなと思って」と心が変わった。
今年はすでに孵化が終わっているため、来年に向けて、顔なじみの百合丘の店などに協力を依頼し鑑賞会を行う準備を進めている。藤田さんは「どれくらい孵化するかは来年になってみないとわからないけど、最後に大事に育てていきたい。できるだけ、皆さんの手を煩わせずに実施することができれば」と話している。
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