麻生区 コラム
公開日:2022.03.18
柿生文化を読む
シリーズ「鶴見川流域の中世」稲毛重成の人物像にせまる(その1)【2】文:中西望介(戦国史研究会会員・都筑橘樹研究会員)
一方、『吾妻鏡』における畠山重忠の記事をみると【1】武勇に優れ数々の合戦で先陣をつとめている。【2】清廉・無欲で、合戦における手柄を独り占めせずに他の武士に手柄を譲ってやる。また、源頼朝から謀反の疑いが掛けられるとあれこれと弁明をせずに、潔く死を覚悟して食を断っている。その後疑いは晴れて赦されている。【3】忠義を重んじて、源頼朝に二心をもたない。加えて『吾妻鏡』では畠山重忠の死に涙を流さない御家人はいないと書かれている。
『吾妻鏡』では稲毛重成と畠山重忠を対照的に描くことで重成を畠山重忠殺害の張本人として「欲深で陰謀家」という人物に描きだしているのではないだろうか。重成の事績を伝える史料は鎌倉幕府の正史である『吾妻鏡』の記事がほとんどで、このほかに『源平盛衰記』や『延慶本平家物語』などにわずかに記されているにすぎない。重成の事績を知ろうとすればどうしても『吾妻鏡』に頼る事になる。しかし、ここで注意したいのは『吾妻鏡』は鎌倉幕府の正史であるが、その編纂期が北条得宗家の専制期に入っているために北条氏に都合の悪い部分は事実を捻じ曲げている部分もあるということである。『吾妻鏡』を読んでいくと畠山重忠殺害の背景には北条氏内部の対立(北条時政・その後妻牧の方・娘婿の平賀朝雅 対 政子・北条義時)が隠されている事がわかる。重成の人物像について畠山重忠を謀殺する「首謀者」とされた背景を追いながら考えることにする。 (つづく)
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