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公開日:2022.04.08

岡上東光院
「板碑(いたび)」市文化財に
鎌倉時代造立 市内で最古

  • 市文化財に指定された「文永四年銘阿弥陀如来種子板碑」=市教委提供

 川崎市教育委員会は先月、岡上の東光院が所蔵する「文永四年銘阿弥陀(ぶんえいよねんめいあみだ)如来種子板碑(にょらいしゅじいたび)」を重要歴史記念物として川崎市文化財に指定した。市内から出土した板碑としては最古、最大で、市教委は「中世における岡上地域の歴史性を表す重要な板碑として文化財的価値が高い」と評価している。



 今回、市文化財に指定された板碑は、1267(文永4)年に造立されたもの。秩父産の緑泥片岩で作られており、高さ165・4センチ、幅40・2センチ、厚さ4センチと大型で完全な形で残されている。



 碑の頭部は山形に整形され、梵字で「阿弥陀如来」と「蓮華座」が彫り込まれている。その下に「文永四年丁卯(ひのとう)三月十五日」(鎌倉時代・1267年)の造立年が刻まれているが、造立者や造立の趣旨は刻まれていないという。



 市教委では「大型で丁寧な加工や彫りから造立者は地元の有力層と推測される」と話す。加えて「岡上のそばを流れる鶴見川流域で出土され、横浜の鴨志田、町田市でも同程度の古い板碑が出土している。それだけのものを造立できる有力層が岡上近郊にいたことを表しており、その歴史性、文化的価値が高い」と今回の指定に至った理由を説明する。



一般公開せず



 同板碑は、1940年に岡上字開戸で、堰(せき)の改修工事中に発見された。地域の関係者によると、発見当時、梵字が彫られていたことから寺院での保管が望ましいとしていたものの、重量があり運び出すのに労力がかかったため、近くの個人宅で長らく保管していたという。将来的な保存・管理の問題から、地域住民の働きかけによって、2016年に東光院で保管されることになった。



 以降は、東光院の本堂に安置されているものの、一般公開は行っておらず、元旦の初参りに合わせて見学することができる。また、指定文化財現地特別公開事業や、区役所等の公的な公開、活用事業の際には見ることが可能だという。



区内6件目



 今回の板碑の指定によって、市文化財の件数は116件となり、重要歴史機縁物としては2018年4月に指定された「北条家虎朱印状」(麻生区・個人所有)以来、102件目。麻生区内では6件目となる。

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