麻生区 コラム
公開日:2022.04.15
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シリーズ「鶴見川流域の中世」稲毛重成の人物像にせまる(その2)【1】文:中西望介(戦国史研究会会員・都筑橘樹研究会員)
ここでは秩父平氏の分布とその中における小山田、稲毛、榛谷等の小山田一族の位置を確認する。さらに源頼朝が小山田一族をどの様に処遇しているのかを見ることにする。
まず秩父平氏は「武蔵の党々」とよばれる猪俣・児玉・横山・丹・野与・村山・私市・西・錣などの郷地頭クラスの武士団とは異なる大武士団である。その所領は一郡または庄園規模の大きさである。また、秩父平氏は武蔵国留守所惣検校職という武蔵国の行政機関を指揮・統括する在庁官人の首位の地位を秩父重綱以来代々世襲している家柄であり、河越重頼・畠山重忠等がその職に就いている。稲毛重成が秩父氏の傍流であることを確認したい。
秩父平氏の分布については今野慶信氏の研究(「豊島氏の成立」)があるのでそれに学びながら見てみよう。秩父平氏は在庁官人のトップクラスである地位を利用して武蔵国内外に広く一族を配置している。その分布は荒川・入間川・多摩川・鶴見川などの大河川の流域や古代官道を継承した鎌倉街道などの幹線道路沿いに進出している。
(つづく)
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