アルテリッカしんゆり公演『グレイクリスマス』の五條華子役で出演する 中地 美佐子さん 市内在住 53歳
今届ける、生きる希望
○…5月8日に麻生市民館で行われる劇団民藝の公演『グレイクリスマス』に出演する。戦後日本の旧華族と、それを取り巻く人々の群像劇だ。演じる五條華子は「純粋でみずみずしく、民主主義に目覚めていく」という役どころ。今、世界で起きていることに重なるようなタイミングで幕が上がる。「この作品を届けることに一層身が引き締まる。遠い過去の話ではなく、身に染みて見てもらえると思う」
○…奈良県出身。「今でも頭の中で考えごとをするときはぜんぶ関西弁」といたずらっぽく笑う。幼いころから映像や演劇の世界に憧れ、多摩美術大学在学中の92年、劇団民藝に入団。その年に見て感動したのが『グレイクリスマス』だった。2018年に新しく舞台化した同作に出演。20年、今年と再演を重ねることに誇りと責任、重圧を感じながら、「今はとにかく目の前のお芝居に集中することがすべて」と意気込む。
○…品格のある語り口だが、根本にあるのは「仲間と何かをつくることが好き」という熱い思い。先輩や後輩から日々学び、劇団を担う俳優の一人として歩み続ける。黒川の稽古場で行われる公演の企画にも携わる。「小さな空間と親近感が魅力」と語り、麻生区にある劇団として、より親しまれる姿を目指す。
○…「馴染みのある麻生区での上演で、1年間の励みにもなっている」と楽しみにする、アルテリッカしんゆりの公演。2年前にも出演を予定していたが、新型コロナの流行で叶わなかった。本番を前に、「戦後の混乱期を生きる人々の姿は、想像しなかった世界を体験した私たちにつながる部分もあると思う」と吐露。「生きる希望を描くお芝居に、ひとつでも何か感じてもらえたら」と思いを寄せる。
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