麻生区 コラム
公開日:2022.06.03
柿生文化を読む
シリーズ「鶴見川流域の中世」稲毛重成の人物像にせまる(その2)【4】文:中西望介(戦国史研究会会員・都筑橘樹研究会員)
榛谷重朝は下河辺行平・結城朝光・三浦義連らと共に弓箭に秀でて信頼のおける人物として頼朝の寝所の警護役に任命されている(『吾妻鏡』養和元年(1181)四月七日条)。同年同月二十日、稲毛重成は虚偽の申告をしたとして頼朝の勘気に触れて篭居している。この勘気もやがて解かれたようで、翌年には金洗澤辺で牛追物が行われた時に下河辺行平・愛甲季隆らと共に頼朝から褒美の品を賜っている。重成が弓矢の達人であったことがわかる。頼朝は畠山重忠には先陣の栄誉を、榛谷重朝には信頼の証としての宿直役を、重成には恐怖心を与えたくみに競争心を煽り操ろうとした。これ以後も幕府内部における重忠と重成の地位は重忠が優位、重成は二番手の立場に置かれて代わる事はなかった。(完)
*鶴見川流域の中世をテーマに近世初期まで書くつもりでいたがここで終わりとする。
連載終了のお知らせ
長らく掲載を続けてまいりました本シリーズは、今回で最終回となります。寄稿者・中西望介さんが昨年9月にご逝去され、お預かりしていた原稿が今回で最後となりました。今後もさまざまなテーマで本コーナーを掲載(不定期)していく予定です。
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