第12回ダブリン国際ピアノコンクールで日本人初の1位に輝いた 黒木 雪音さん 区内在住 23歳
ピアノで勇気、活力を
○…国際的なピアノコンクールで日本人として初の1位に。結果を受け「驚きが大きかったが、これまで支えてくれた方々への感謝でいっぱい」と万感の思いだ。セミファイナルの、リスト『ピアノソナタロ短調』は試験以外で初めて披露した。模索した歌心や祈りの表現は、聴衆の反応からアイルランド・ダブリンの人々にも届いたと実感。自然環境にも心癒され「とてもいい気持ちで演奏することができた」と、よろこびと充実感で笑顔があふれる。
○…北海道で生まれ、千葉県で育つ。ピアノ教師の母の影響で3歳で始めたピアノは「ずっと身近にあって、知らないうちに相棒になった」という存在だ。幼い頃から国内や海外のコンクールに出場し、高校生になると一人で世界に渡るように。現在は、昭和音楽大学大学院で研鑽を積み、国内外で演奏を重ねる。
○…練習や移動の合間には、韓国のドラマを見たり、KーPOPを聞いて息抜き。好きな作品を語る様子に、等身大の姿を垣間見せる。大学入学とともに「東京に近いのに緑が豊か」という印象の麻生区に住んで6年。学校周辺を歩いてリフレッシュすることも多い。下ばかり見て歩く人と多くすれ違うことにも触れ、「もっと五感を使って歩いてみてもいいのにな」と感じるという。
○…「長い物語のある音楽だからこそ、聞いた後の気持ちに作用することができる」と語る、クラシックの魅力。過去に老人ホームで訪問演奏をしたとき、認知症の入所者が翌日も演奏を覚えていたことが大きく印象に残る。「無限の力を音楽は持っている」と感じ、今後目指すのは社会貢献できるアーティストだ。「ピアノを通じて、勇気や生きる活力が与えられたら」。澄んだ瞳が力強く物語る。
|
|
|
|
|
|