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公開日:2022.09.16

千代ケ丘在住斉藤さん
希少ドジョウを繁殖
区内に生息 「関心持って」

 かつて区内の小川などで、よく見られていたメダカやホトケドジョウ。千代ケ丘在住の斉藤訓章さん(51)は、今や絶滅危惧種に指定されているこの2種類を飼育、繁殖させ、地域に還元する活動をしている。斉藤さんは「麻生区にもまだ生息する環境がある。身の回りにどんな生き物がいるか、環境を含めて関心を持ってほしい」と呼び掛ける。

 先月、千代ヶ丘こども文化センターで行われたミニ縁日。子どもたちが「メダカすくい」に挑戦した。このメダカを提供したのが斉藤さんだ。

 中学生のころから千代ケ丘に住む斉藤さんは、熱帯魚を飼うのが趣味だった。大人になり、中断していたが、4年程前に、知人から区内の川で護岸工事が始まると聞いて見に行くと、ホトケドジョウが生息していた。「このままだといなくなってしまう」と危惧。5匹捕まえ、自宅で飼育を始めた。

 ホトケドジョウは、小型で4対8本のヒゲがあり、顔がふっくらしているのが特徴。日本固有種で湧き水のある谷戸の源流域に生息する。都市化による環境変化を受けやすく、国や神奈川県の絶滅危惧種I・B類(近い将来に絶滅の危険性が高い種)に指定されている。特に川崎市や横浜市の都市部周辺の生息地が減少し、多摩区の生田緑地では、行政、専門家、市民が連携して保全活動などを行っている。

 斉藤さんは、自宅の庭で12種類のメダカと共に、ホトケドジョウを飼育。雨水が入らないようにしたり、カキの殻を使って有害物質を除去するなど特に水質に注意を払う。「産卵後、稚魚を食べていたこともあるので、今は水草や餌となるミジンコも一緒に育てています」と話す。今年5月には繁殖に成功し、今は70〜80匹になった。

 護岸工事が終わった後には、元いた場所に放流する予定だ。「同じホトケドジョウでも遺伝子レベルで地域色がある。だからこそ保全が必要」と力を込める斉藤さん。「都市化した新百合ヶ丘にも、まだホトケドジョウのような希少種がいる。そんな地域であることを多くの人に知ってもらい、愛してもらえたら」と話している。

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