戻る

麻生区 コラム

公開日:2022.10.14

柿生文化を読む
シリーズ「草創期の柿生中学校」教科書はあったのか?【3】文:小林基男(柿生郷土資料館専門委員)

 下の写真は、柿生中学校創立当時の理科と社会の教科書です。A5版1冊60頁程度の粗末な作りです。1年生用、2年生用共に全6分冊、当然次年度には3年生用の6分冊が加わり全18分冊の作りです。ですから現在の教科書の1章、2章といった章ごとの分冊として発行されたことになります。それはいいのですが、教科書の印刷、発行日を記した奧付けをみると、理科の第1分冊、「空気はどんな働きをするか」は、昭和22年の3月22日に発行されているのですが、第2分冊「水はどのように大切か」の発行日は、何と同年11月5日なのです。1章を学び終えると、11月まで教科書がないのです。社会になるともっとひどく、第1分冊の「わが国土」は印刷後に不備があって1度回収され、修正版がようやく印刷されたのは3学期に入った1月15日、第2分冊の「家庭と社会生活」に至っては、23年の4月25日になって、やっと発行されたのです。社会については、1年間教科書がなかったのです。  (つづく)

    • LINE
    • X
    • Facebook
    • youtube
    • RSS