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麻生区 コラム

公開日:2023.03.10

柿生文化を読む
シリーズ「草創期の柿生中学校」『うれ柿』と学校生活の思い出…その4【1】文:小林基男(柿生郷土史料館専門委員)

遠足と修学旅行(2)

 昭和20年代の柿生地域の殆どの中学生にとっては、電車やバスに乗ることさえめったに経験することのない、心躍る体験でしたから、未知の世界を見学する毎年の遠足は、飛び切りの楽しかった思い出として記憶の襞に刻まれました。

 日帰りの遠足ですらこうなのですから、クラスの仲間たちと枕を並べて寝泊まりする修学旅行は、より強い印象を残すことになります。しかし、宿泊を伴う旅行となると、遠足に比べ格段に高額の費用が必要になりますし、先生方の準備もまた大変です。そのため開校と同時に学校行事に加えることは出来なかったのです。では、修学旅行は何期生の時に実現したのでしょう。

 柿生中学校には、1951(昭和26)年3月卒業の3期生が、卒業旅行として修善寺温泉に宿泊した時の記念写真が残されています。3期生の皆様に伺ったところ、修善寺への卒業旅行が、初めてのお泊り旅行で、修学旅行に行った記憶はないと、異口同音に話してくださいました。当時の食糧事情によるのですが、1食に1合の割合で食数分のお米を持っていったのが、現在と大きく違うところでした、3期生の皆様は、初日の夕食、翌日の朝食と昼食用のおにぎりと3食分の3合を持って行ったと、懐かしそうに教えてくださいました。   (つづく)

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