創立50周年を迎えた川崎市空手道連盟の会長を務める 粕川 精一さん 中原区在住 80歳
武道の精神を後進に
○…市内33団体が所属する川崎市空手道連盟の会長として、後進の育成に力を注ぐ。連盟主催の市の空手道競技会には1989年の第1回大会から選手として参加。連盟の歴史を知る数少ないメンバーの一人だ。「昔は企業に空手部があることは珍しくなかったけれど、今は街の道場で競技を続ける人が多くなったね」。2020年の東京五輪で初めて正式種目として採用され、女性や子どもの愛好家も増えたことを歓迎する。
○…18歳のときに友人に誘われて道場へ通い始め、日々の鍛錬を重ねて成長できることが嬉しかった。就職した会社でも空手部を立ち上げ、仲間とともに昼休みまで練習に励んだ。現在空手歴は62年になり、全日本空手道連盟公認の段位は難易度の高い6段。「一人ではここまで続けられなかった。恩師や先輩、一緒に稽古を積んだ友人たちに感謝したい」
○…東京で生まれ、戦時中は群馬県に疎開。父が戦死し、小5のときに母と兄弟4人で川崎市へ移った。「わがままな末っ子でいたずら好き。女手一つで育ててくれた母にはずいぶん迷惑をかけたと思う」。鋼管製造会社に勤めると、技術者として海外の仕事にも従事。家族を大切にし、全員そろって出掛ける温泉旅行は今でも続ける。
○…2人の息子が中原区内の小学校に通っていた40年ほど前、小学校に空手部を作り15人ほどを指導。会長の立場になり「今でも子どもたちにはケガだけは注意するように教えている」。自身の体は腰や膝などに古傷を抱え、満身創痍だ。「昔はパフォーマンスで瓦を割ったり、無理したからね」と笑う。指導者として大切にするのが強さよりも精神力。「自分のことよりも人のために役立つことを考えられる人間性を育てていきたい」
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